砧公園の桜

東京都の桜の名所は数多くありますが、広くて自然に恵まれてのびのびとお花見が楽しめる場所として、世田谷区にある都立砧公園はお勧めです。公園内には世田谷美術館もあり、自然と文化が味わえる公園とも言えましょう。
昨日5日に行ってみると、ちょうど満開で見事な景色でした。一昨日に行った千鳥ヶ淵公園では花吹雪が始まっていましたが、郊外の世田谷区付近は都市温暖化が幾分少ないためか、都心よりもやや遅めに咲き出し、ちょうど今が見ごろというわけです。昨日も家族連れや、カップル、グループなどで大にぎわいでしたが、何しろ広いので、花見名所にありがちな騒々しさもさほどひどくはなく、花をじっくり味わえるのが嬉しいです。特に朝方や午後3時以降は程よい人混みで、飲食で盛り上がるグループもあれば、芝生に寝っ転がりマッタリするカップルや、ボール遊びをする親子連れなどもいて良い雰囲気です。
もちろん、桜は見事なものです。古木で大きく、まるでふわふわの雲のように幻想的に一面に花を付けています。周囲の木々の新緑ともよく調和しています。
 
 
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青空と雲をイメージした塗装が特色の世田谷清掃工場の煙突が見えるのが砧公園の特色です。
 
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桜も大木ですが、周囲には武蔵野の雑木や松などたくさんの木々も生えていてその新緑も奇麗です。
 
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思い思いにお花見を楽しんでいます。(近い人物については一部画像処理をしています。)
 
この砧公園は昭和15年(1940)に、当時の東京府紀元2600年記念行事として造営を計画した6か所の緑地の一つでした。しかし、戦争の悪化に伴い、都市の環境や美しい景観を守るという本来の目的とは変わって、軍部の手によって防空緑地に転換されました。そして戦時中は軍事訓練場、食糧増産のための臨時農場としても使われ、終戦直前には防空壕も作られました。戦後は上野動物園の動物のえさを生産する農地になり、昭和30年から10年間は都立砧ゴルフ場として利用されました。やがて、もっと広く都民のためになるようにとの声が高まり、昭和41年には本来の緑地公園として広く都民に公開され、元のゴルフ場は砧ファミリーパークと呼ばれてこのような芝生と桜の公園になり、現在に至っています。
平和でのどかなこの公園も戦争の歴史、戦後復興の歴史などを秘めているのですね。そう思うと、桜をのんびり味わえる幸せを強く感じます。