富岡製糸場が世界遺産に!

昨日、ユネスコの専門家委員会(イコモス)が、今年の世界文化遺産富岡製糸場群馬県富岡市)と絹産業遺産を登録するようにという勧告を出しました。これで6月の世界遺産委員会で正式決定されることはほぼ確実になりました。決まれば、昨年の「富士山」に続き、国内で14件目の世界文化遺産になります。
世界遺産登録の審査は、近年大変厳しくなっており、2008年に登録を目指した「平泉」(岩手県)は価値の証明が不十分との理由で、イコモスから登録延期勧告が出され、3年遅れて2011年にようやく登録されましたし、昨年は「武家の都 鎌倉」が武家都市としての残存文化財の少なさから登録できませんでした。
 
登録の鍵を握っているのはユネスコの諮問機関で、文化財の専門家が審査しているイコモスという国際機関の勧告です。例年、6月の世界遺産委員会の決定よりもこのイコモスの勧告が重要な意味を持ちます。
例年5月に入ってから出されるイコモスの勧告が今年は4月26日という早期に出されたことから見ても、イコモスでは文句なく順調に意見がまとまったものと思われます。政府も最近では最もパーフェクトに近い勧告だと歓迎しているとのこと。6月の正式決定が本当に楽しみです。
 
明治新政府の殖産興業政策の柱として生糸生産のために国家によって建設され、明治5年に完成したレンガ造りの富岡製糸場の建物はよく保存されて、重要文化財に指定されています。以下の写真は、2010年10月25日に撮影したものですが、幕末維新の動乱が終わったばかりの明治5年という時期に、既にこんなにしっかりとした官営工場が建設されていたこと、この工場が昭和まで操業を続けていたことを思うと、製糸業が我が国近代の基幹産業であったことを改めて知ることが出来ます。
 
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入口入ってすぐ正面 堂々たる煉瓦建築です
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上の写真の中央アーチの上には、建設年の「明治五年」の銘が刻まれています。
 
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 その横手には整然とした煉瓦壁 ちょうど満開のサルビアの花とよく調和していました(2010年撮影)
 
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正面アーチの左右の建物出入り口扉は木製洋風で上部小壁にも小型アーチ窓がデザインされています
 
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 工場内部です。機械類がすべて保存されています。
 
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工場屋根内部 西洋式の三角トラス構造になっています。明治5年の日本としては最新構造です。
 
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 工場棟遠望 その規模の大きさが分かります。